契約基礎編

契約とは?契約の定義や約束との違いをわかりやすく解説します

握手

はじめまして。もと地方公務員で入札契約担当の部署に7年いたヒジリといいます!

自治体の職員をしていると毎日のように契約という言葉を耳にしませんか?

自治体では、日々様々な契約をしています。

でも、改めて「契約ってなに?」と聞かれると、きちんと言葉で説明するのって難しいですよね。

このページでは、契約の世界への入口として「そもそも契約とは何なのか?」をわかりやすく解説します。

ヒジリ

契約を制する者は公務員を制する!

契約マスターへの第一歩として契約の定義を知ろう

契約の定義

まずは結論から。

契約の定義

契約とは、互いに対立する2個以上の意思表示の合意によって成立する法律行為です

新採職員さん

何だかわかるようで、わからないわね・・・

そうなんです。一般的な定義は上記のとおりなんですが、これだけだと分かりづらいですよね。

分かりづらくしているワードは、以下の2つです。

  1. 意思表示
  2. 法律行為

具体例を挙げながら順番に見ていきましょう。

意思表示 ー申込みと承諾ー

具体例を見ていきます。

お酒が大好きなAさんは、Bさんの持ってるハイボールを買うことにしました。

Aさん

Bさんのハイボールを200円で買います!

Bさん

わかりました。Aさんにハイボールを200円で売りますね

Aさんの「買います!」とBさんの「売りますね」が意思表示の部分にあたります。

契約の世界では、Aさんの意思表示を申込み、Bさんの意思表示を承諾と言います。

買主Aさんと売主Bさんという互いに立場が対立している2個の意思表示(申込みと承諾)が合意となり、ハイボールの売買契約が成立したということになりますね。

逆に、Aさんが「買います」と言って申込みの意思表示をしても、Bさんが「Aさんには売らないよ!」と言って承諾しなかったら合意に至りませんから、当たり前ですが、契約は成立しません。

ちなみに、定義の中には2個以上の意思表示とあります。僕たちが普段の生活の中でしている契約は、ハイボールの売買契約のように2者間でする契約が大半を占めますが、世の中には、3者や4者あるいはそれ以上でする契約もありますから、2個以上とされているわけです。

ここで、ある疑問がわく人もいると思います。

新採職員さん

両者が合意すればいんだよね。じゃあ、契約と約束って同じことなのかな?

この疑問を解決するために、次の法律行為を見ていきましょう。

法律行為 ー法的拘束力ー

法律という言葉がくっついていて何だか堅苦しく感じますが、安心してください。

ブリーフさん

はいてますよ!

先程のハイボールの事例で考えていきましょう。

AさんとBさんの間にハイボール(200円)の売買契約が成立しました。これによって、

  • Aさんは、代金200円を支払う義務を負い、ハイボールを受け取る権利を得ます
  • Bさんは、代金200円を請求する権利を得て、ハイボールを引き渡す義務を負います

仮に、Bさんがハイボールの引き渡しを拒否したとしましょう。

この場合、Aさんは裁判を起こして、Bさんに対してハイボールの引き渡しを法的に強制することができます(実際には200円のハイボールのためにそこまではしませんが)

このような法的拘束力をもつ権利や義務を発生させる行為、これが法律行為です。

契約と約束の違い

先程の疑問に戻ります。

ずばり、契約と約束の違いは法律行為であるか否かです

契約と約束の比較
  • 契約は、2者以上の合意によって成立する法律行為
  • 約束は、法律行為ではない2者以上の合意です。

約束の具体例を見ていきましょう。

ある日、Aさんがクラスの人気者Cさんをデートに誘いました。

Aさん

Cさん!明日、ネズミーランドでデートしませんか?

人気者Cさん

ネズミーランド!?行きたい!

いいよ、デートしよ♪

デート当日、CさんはBさんとデートしたくなりAさんとの約束をすっぽかしてしまいました。

Aさんは悲しみのどん底です。

このとき、Aくんは裁判所に訴えて、Cさんに再度デートすることを強要したり罰則を科したりすることができるでしょうか?

わざわざ理屈で考えるまでもなく、日頃の感覚から、それはできないことがわかると思います。

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Aさんが浮かばれない・・・

約束も契約も、もちろん人として守らなければならないものです。

ただし、約束を守らなかったことについて道徳的・倫理的に非難されることはあっても、法律の力で強制されたり罰則を科されたりすることはありません。

約束が法律行為ではないからです

まとめ

契約って、契約書に署名したり押印したりすることじゃないの?と思っていた人もいると思います。ぼくもそうでした。

でも、ここまで読んでくれた人なら契約はお互いの意思表示が合意することによって成立する法律行為であるということがわかったと思います。

無理して、定義を丸暗記する必要はありません。

契約はお互いの合意なんだな。

この合意によって法的な効果が発生するんだな。

ということがわかっていれば十分です。

そして、契約とは何かを知ったことによって、自分たちが知らぬ間にたくさんの契約をしていたことにあなたは気付いたことでしょう。

そこに気付いたあなたは、もう立派な契約の世界の住人です!

お疲れさまでした!