契約基礎編

契約の分類が一目でわかる表がこれだ【典型契約、双務契約、諾成契約等】

ゴミの分類


お久しぶりです。もと地方公務員で入札契約担当の部署に7年いたヒジリです。

このページでは、契約の分類について解説します。

悩める職員さん

契約と一口に言っても、典型契約や双務契約、諾成契約とか○◯契約って言葉が色々ありすぎてよくわからないわ。

契約ってどのように分類されているのかしら?

こんな契約担当者さんのための記事です。

契約には様々な種類がありますよね。請負契約や委任契約、売買契約などは特にお馴染みの契約だと思います。

それら様々な種類の契約を体系的に理解するために、まずは契約の分類について知ろうというが、このページの主旨です。

どうして契約の分類や種類を学習する必要があるかというと、それぞれの契約ごとに該当となる関係法令が異なるからです。具体的には、次のような点です。

契約の種類や分類を学習する必要性
  • それぞれの契約ごとに、契約書に必要な条文が異なる。
  • 契約の種類によっては、民法だけでなく他法令の制限を受ける。
  • 契約の相手方とトラブルになり争いになった場合には、契約担当として、その契約の種類に応じた関係法令を理解しておく必要がある。

ただ僕の経験上、自治体職員の実務に必要な知識として、契約の分類を完璧に暗記したりする必要はありません。頭の片隅に入れておいて、必要が生じたら改めて確認すればいいと思います。

ヒジリ

無理に全部覚えようとする必要はありません。

頭の片隅にでもあるのと全く知らないとでは雲泥の差です。

一目でわかるように表形式で掲載しておきますので、必要が出てきたら見返すようにしてください。

契約の分類表

典型契約と非典型契約

典型
契約
民法債権編第2章に規定されている贈与、売買、交換、消費貸借、使用貸借、賃貸借、雇用、請負、委任、寄託、組合、終身定期金及び和解の13種類の契約をいいます。民法上に名称があることから、有名契約とも呼ばれています。
非典型
契約
典型契約のどれにも該当しない契約をいいます。民法上に名称がないことから、無名契約とも呼ばれています。

双務契約と片務契約

双務
契約
契約の当事者が互いに債務を負う契約をいいます。
典型契約のうち、売買、交換、賃貸借、雇用、請負、有償委任、有償寄託、組合及び和解が該当します。
片務
契約
契約の当事者の一方だけが債務を負担する契約をいいます。
典型契約のうち、贈与、消費貸借、使用貸借、無償委任及び無償寄託が該当します。

例えば売買契約では、売主は買主に対して商品を引き渡す債務を負い、買主は売主に対して代金を支払う債務を負います。

このようなお互いに債務を負っている契約が双務契約に分類されます。

一方で、贈与契約のように、贈与する側は相手に物を引き渡す債務を負っているけれど、贈与受ける側は何の債務を負っていないものは片務契約に分類されます。

有償契約と無償契約

有償
契約
契約の当事者が互いに何らかの対価の支出を伴う契約をいいます。
売買、交換、賃貸借、雇用、請負及び有償委任等が該当します。
無償
契約
有償契約に該当しない契約をいいます。
贈与、使用貸借及び無償委任等の一方の当事者だけが経済的な負担を負う契約が該当します。

諾成契約と要物契約

諾成
契約
契約の当事者の合意だけで、契約目的物の引き渡しを必要とせず成立する契約をいいます。
僕らが日常生活で行う契約の大半は、この諾成契約で、売買及び請負等の契約がこれに該当します。
要物
契約
契約の当事者の合意のほかに、契約目的物の引き渡しによって成立する契約をいいます。
消費貸借、使用貸借及び寄託契約が該当します。

継続的契約と1回的給付契約

継続的
給付契約
契約の期間中、給付が継続する契約をいいます。雇用、賃貸借、使用貸借、寄託及び組合契約等が該当します。継続的給付契約は、契約を解除するとなると、過去に遡って契約を無かったことにするのは困難であるから、将来に向かってのみ契約を解除する。
1回的
給付契約
契約の期間中に1回の給付を目的とする契約をいいます。贈与、売買、交換及び和解等が該当します。1回的給付契約は、契約の効力を遡って無かったことにする解除ができる。

まとめ

このページでは契約の分類について、表形式で掲載しました。

契約担当として、全ての分類をきっちり覚えておく必要はありません。

「こういう分類があるんだな」と頭の片隅に入れておくだけでも十二分に役立ちます。

そうすれば、今後、請負や委任、売買といった個別の契約を学習する際に理解が深まるはずです。

実務上、必要が出てきたら、表を確認して記憶を呼び起こすようにしてください。

お疲れ様でした!