おひさしぶりです。もと地方公務員で入札契約担当の部署に7年いたヒジリです!
このページでは、公法上の契約と私法上の契約について、できるだけわかりやすく解説します。
自治体職員が契約の勉強をスタートして解説本を読み出すと、序盤に出てくる難解な用語があります。
それが公法上の契約と私法上の契約です。
特に公法上の契約が厄介で、序盤に出てきて難しいことが書かれているので、勉強が嫌になってしまう職員さんもいらっしゃるのではないでしょうか?
僕はそうでした・・・
でも、大丈夫です。
2つの違いが簡単にわかるようになる魔法の言葉をお伝えします。
完璧に理解しようとしなくても大丈夫です。
肩の力を抜いて読んでみてください。
公法上の契約と私法上の契約の違い
自治体がする契約には、2種類あります。
それが公法上と契約と私法上の契約です。
それぞれがどういった契約なのかを個別に見ていくまえに、ざっくり2つの違いを知るところから始めましょう。
一般的な定義は次のとおりです。
- 公法上の契約:公法上の効果の発生を目的とする契約
- 私法上の契約:私法上の効果の発生を目的とする契約
これだけだと、よくわからないな・・・
そうなんです。
一般的なテキストに書かれているのは上記のような定義なのですが、これだけだと、いまいちわからないですよね。
そこで、次のような言葉に置き換えたいと思います。
これで簡単に違いがわかるようになる魔法の言葉です。
- 公法上の契約:自治体でなければできない契約
- 私法上の契約:自治体でなくてもできる契約
みなさんの住んでる都道府県や市町村というのは、日々多くの契約をしていますが、自治体がする契約だからといって特殊な契約ばかりをしているわけではありません。
例えば、車の売買契約。
職員さんが工事現場に行ったり、出張に行ったりするときのために車が必要ですよね。そのため多くの自治体がディーラや地元の販売店と公用車の売買契約を締結しています。
でも、車の売買契約って、なにも自治体でなければできない契約ではありませんよね?
僕たち個人だって車を購入しますし、民間会社だって従業員さんが使用する車を購入します。
そういった自治体がしている契約なんだけれど、いわゆる私人と呼ばれる僕たち個人であってもできる契約、それが私法上の契約なんです。
反対に、僕たち個人が締結することができない契約、自治体でなければ締結できない契約が、公法上の契約なんです。
難しいことはわからないけれど、私人でもできる契約なら私法上の契約。
それ以外なら公法上の契約って理解すればいいだね。
その理解で十分です。
違いがわかってきたところで、それぞれの契約について個別に深堀りしていきましょう。
公法上の契約
公法上の契約とは
公法上の契約は、公法を根拠としている自治体でなければできない契約でした。
一般的に公法というのは、次のような特徴をもった法律です。
- 国や自治体といった公的な立場の組織やその権限に関する法律
- 国等と個人との関係を規律する法律
- 具体的には、憲法や行政法
ちょっと難しいですね。
そもそも公法とか私法という言葉は、法律で明確に定義があるわけではなく、星の数ほどある法律を体系的に理解していくうえで使われている概念的なものなので、何だかふわっとしてるんです。
なので、地方公務員の実務に必要な知識としては「国や自治体のありかたや権限についての法律全般を指している」という理解でいいと思います。
公法上の契約の具体例
- 市町村相互間の児童の教育事務委託(学校教育法40条)
- 自治体の事務を他の自治体に委託する契約(地方自治法第252条の14)
- 自治体相互間の道路の費用負担割合の協議(道路法第54条)
自治体同士でないといけないので、自治体でなければできない契約に該当しますね。
民法ではなく、個別の法律を根拠に契約しているというのも特徴です。
私法上の契約
私法上の契約とは
私法上の契約は、私法を根拠としている自治体でなくてもできる契約でした。
私法というのは、民法や商法、会社法といった私人(僕たち個人や民間会社等)としての利益や関係について規定した法律全般のことを言います。
私法上の契約の具体例
- 僕たちが普段の生活の中でしている契約全般
- 自治体が、地方自治法第234条以降に定められている一般競争入札、指名競争入札または随意契約といわれる手法で調達している契約全般(例:建設工事、測量業務委託、物品売買契約etc)
自治体がしている私法上の契約も民法がベースになりますが、公金を使って事業を行っているので、契約相手の選び方については地方自治法第234条以降の中でルールが決められています。
それが職員さんなら一度は聞いたことがあるであろう競争入札や随意契約と言われるものです。
これらについては別記事でまとめますね。
まとめ
公法上と契約と私法上の契約の違いは、次のとおりでした。
- 公法上の契約:自治体でなければできない契約
- 私法上の契約:自治体でなくてもできる契約
自分自身はわかっていてるつもりでも、いざ他人に説明しようとすると難しいことってありますよね。
僕自身、うまく説明できなかったなと反省することが多かったのが公法上の契約でした。
でも、ここまで読んでくれた皆さんなら大丈夫ですね!
お疲れさまでした!