お久しぶりです。もと地方公務員で入札契約担当の部署に7年いたヒジリです。
このページでは、代理制度についてシンプルに解説します。
代理って、法律的にはどういう意味なんだろ?
代理と使者ってなにが違うの?
こんな職員さんのための記事です。
それではやっていきましょう。
代理とは?
契約の締結は必ずしも本人が全て行うわけではなく、代理人が本人に代わってする場合もあります。
みなさんの自治体でも、支店長や営業所長が代表取締役に代わって契約を締結していることがあると思います。
そもそも民法における代理というのは、ある人が本人に代わって意思表示をする権限を与えられている場合に、その人が行った意思表示の効果が本人に帰属するという制度です。
意思表示というのは、法律効果の発生を欲する意思を外部に表示する行為のことでした。
売買契約の買主であれば「お金を払うので、その物をください」と売主に伝えることです。
代理を頼まれた人が頼まれた範囲で行った意思表示であれば、本人が行ったことになるということですね。
任意代理と法定代理
代理は、代理権が発生する原因によって次の2つに分かれています。
任意代理:本人が第三者に対して任意に代理権を授与した場合
法定代理:法律の規定により代理権が発生した場合
順番に見ていきましょう。
任意代理
任意代理は、本人が第三者に任意で代理権を授与できるので多種多様です。
自治体職員さんが業務で確認している委任状による代理は、こちらの任意代理です。
具体例は次のとおりです。
- 証券会社に株の売買を依頼する
- 不動産屋に不動産の売買を依頼する
- 弁護士に弁護を依頼する
任意代理をすることによって、自分の活動する分野や地域を広げることができますし、専門的知識の不足を補うことができます。
法定代理
法定代理は、法律の定めにより発生している代理権で、具体的には制限行為能力者制度の法定代理人がこれに該当します。
制限行為能力者の取り引きや法定代理人ついては、民法で規定されていますから、法理の定めにより発生している代理権になります。
例えば、成年被後見人であるAさんがアパートの賃貸借契約を締結しようとしても、Aさん本人は自身で有効な契約を締結することができません。
そこで法定代理人であるBさんがAさんを代理して不動産屋と賃貸借契約を締結することで、その契約の効果がAさんに帰属することになるので、Aさんは無事アパートを借りることができるわけです。
代理と使者の違い
代理と似た制度で、自治体契約でもよく比較される制度として使者があります。
使者は、本人が決めた意思表示をそのまま相手に伝えるだけの、いわゆるメッセンジャーのことです。
これに対して代理人は、代理人自身の判断で意思表示をすることができます。
具体例をみてみましょう。
A市役所がミニバンの公用車を購入したいとします。
A市役所に、400万円なら売るよと伝えてきてくれ
かしこまりました。伝えてきます
社員CさんがA市役所に伝えたところ、予算が足らないので390万円にして欲しいとA市役所の担当者が言ってきました。
このとき、社員Cさんは自身の判断で390万円に値下げして、A市役所に売ることを決めることができるでしょうか?
できませんね
社員Cさんは、B社長にA市役所に伝えることを頼まれただけの使者ですから、Cさん自身で判断することができません
仮に社員Cさんが、B社長からA市役所との交渉や契約権限を与えられている代理人であれば、Cさん自身で判断することができます。
Cさんが値下げしてでも売った方がいいと考えれば、A市役所に対して「わかりました。390万円で売ります」と意思表示することができるんです。
そして、この意思表示により成立した契約の効果は、本人であるB社長に帰属しますから、B社長自身が契約したものとして取り扱われることになります。