契約基礎編

代表取締役と社長の違いって?株式会社のよくある誤解3つを解説

子供の社長

お久しぶりです。もと地方公務員で入札契約担当の部署に7年いたヒジリです。

このページでは、自治体ともっとも多く契約を締結する法人形態である株式会社について、よくある誤解3つを紹介します。

よくある誤解3つ
  1. 代表取締役と社長は同じ意味で、同じ人が務めている
  2. 株式会社には必ず代表取締役がいる
  3. 代表取締役は1社につき1人しかいない
新採職員さん

契約書の相手方の肩書きが代表取締役社長だったり、取締役だったりするんだけど、どうして色々あるんだろ?みんな代表取締役じゃないの?

こんな職員さんのための記事です。

そもそも法人とは何なのかということについては、別記事で解説していますので、まだ読まれていない方はそちらから確認してみてください。

法人の代表に関する部分だけでもお読みいただくと、本記事の理解が深まります。

大きなビル
法人とは?契約主体についてわかりやすく解説します お久しぶりです。もと地方公務員で入札契約担当の部署に7年いたヒジリです このページでは契約の主体になれる法人について解説します。...

では順番に見ていきましょう

誤解① 代表取締役と社長は同じ意味で、同じ人が務めている

新採職員さん

代表取締役と社長って同じ人よね?どっちも会社で一番偉い人って意味でしょ?

そうであればシンプルでよかったのですが、残念ながら半分正解で半分不正解です。

この誤解をしていると代表権のない人と契約を締結してしまい無権代理になる恐れがあるので、ここで誤解をといておきましょう。

代表取締役と社長を同じ人が兼任している株式会社もあれば、それぞれ別な人が務めている株式会社もあるというのが正しい認識になります。

そもそも代表取締役と社長は、それぞれ異なる肩書きなんです。

代表取締役と社長の比較

代表取締役:会社法349条に定められた株式会社の代表者

社長:会社内で職務内容や地位等を区別するために使われている俗称。法律に規定はない

(株式会社の代表)

第三百四十九条 取締役は、株式会社を代表する。ただし、他に代表取締役その他株式会社を代表する者を定めた場合は、この限りでない。

会社法より

代表取締役は、会社法によって株式会社の事業全般の代表権が認められていますから、最高責任者であることに間違いありません。

一方、社長は会社法に存在しない肩書きであり、社内で使われている俗称に過ぎません。

権限の範囲も会社ごとに定めることができますから、同じ社長の肩書きであっても、権限の範囲はその会社によって異なる場合があるわけです。

代表取締役と社長が兼任している、いわゆる代表取締役社長がいる会社であれば問題はありませんが、代表取締役が別にいる会社の社長では、代表権がないため社外との契約を自由に締結することが原則できません(代表取締役から委任を受けている場合は別です)

契約書の肩書きに社長としか書かれていないときは、念のため登記簿を確認する等して代表権の所在を確認するようにしましょう。

ちなみに社長という肩書きがない会社もあります。

ヒジリ

最近ではCEOという呼び方をよく耳にしますね。社長は社内の俗称ですから、もちろんいなくても問題ありません。

誤解② 株式会社には必ず代表取締役がいる

中堅職員さん

契約書の肩書きに取締役社長って書いてあるけど、代表取締役じゃないとダメだよね?

これも半分正解で半分不正解です。

この誤解をしていると、今度は逆に代表権のある人を無権代理だと勘違いしてしまう恐れがあるので注意が必要です。

実は、株式会社には次の2種類があります。

  • 取締役会がない株式会社
  • 取締役会がある株式会社

取締役会がない株式会社の特徴は次のとおりです。

取締役会がない株式会社
  1. 取締役は最低1人いればよい
  2. 代表取締役は選定してもしなくても、どちらでも構わない
  3. 代表取締役を選定しないときは、取締役全員が会社の代表者となり代表権を有する

取締役会がない株式会社では、代表取締役の選定が必須ではありませんから、代表取締役という肩書きの人がいないケースもあります。

この場合、取締役全員が代表権を有することになりますから契約書の肩書きが取締役社長や取締役であったとしても、すぐさま無権代理と判断することはできません。

誤解③ 代表取締役は1社につき1人しかいない

2年目職員さん

代表取締役は、取締役の中から選ばれた会社の代表者なわけだから、当然1人だけよね?

実は2人以上いることもあるんです。

今度は、取締役会のある株式会社の特徴を見てみましょう。

取締役会がある株式会社
  1. 取締役は最低でも3人必要
  2. 代表取締役を必ず選定しなければならない
  3. 代表取締役の選定は1人だけでも、複数人でも構わない

取締役会がある株式会社は、取締役会がない株式会社とは違い代表取締役の選定が必須になります。

この際、2人以上を選定することもできるんです

社内では、社長や会長といった俗称で使い分けていますが、登記簿を見たら両者とも代表取締役だったということがよくあります。

まとめ

このページでは、株式会社に関するよくある誤解3つについて解説しました。

よくある誤解3つ
  1. 代表取締役と社長は同じ意味で、同じ人が務めている
  2. 株式会社には必ず代表取締役がいる
  3. 代表取締役は1社につき1人しかいない

誤解を解くと次のとおりです。

正しくは
  1. 代表取締役は法律上の最高責任者、社長は俗称。同じ人が兼任している株式会社もあれば、それぞれ別な人が務めている株式会社もある
  2. 取締役会がない株式会社では、代表取締役の選定が必須ではないので、代表取締役がいない会社もある
  3. 取締役会がある株式会社では、代表取締役を複数人選定することができる

誤解したままだと、代表権の有無を誤認することになりますから注意が必要です。

ここまで読んでくれた方は大丈夫ですね!

もう株式会社の肩書きでは悩みません。

お疲れさまでした!