おひさしぶりです。もと地方公務員で入札契約担当の部署に7年いたヒジリです。
このページでは、契約自由の原則について、できるだけわかりやすく解説します。
契約自由の原則ってフレーズをよく耳にするけど、どういう意味なんだろう?
自由っていうけど、どこまで自由なの?制限なないのかな?
こんな職員さんのための記事です。
本記事では、前編として「そもそも契約自由の原則とは何なのか」ということについて解説します。
後編は、別記事で「契約自由の原則に対する制限」について解説します。
契約自由の原則 ー4つの自由ー
まずは、一般的な定義から見ていきましょう。
契約の基本的なルールは民法で定められており、自治体がする私法上の契約も同様です。
民法では、人間は生まれながらにして自由であり平等であるということを基本原理としており、契約自由の原則もこれに基づいています。
個人は他人から干渉されずに自己の意思で自由に契約できるという原則
ポイントは、人が自身の自由な意思で契約することができるという点です。
契約自由の原則の具体的な内容として、次の4つの自由があります。
- 契約締結の自由
- 契約の相手方を選択する自由
- 契約内容の自由
- 契約方式の自由
それぞれ、具体例とあわせて見ていきましょう。
自分が最新の洗濯機を買う場面を想像してみてください
契約締結の自由
契約締結の自由は、契約するのか、それともしないのかを自分で決定できる自由です。
洗濯機を買うことを家電量販店で強制されたりはしませんよね。
買主である自分の判断で、買うのか買わないのかを決められることが契約締結の自由です。
契約の相手方を選択する自由
契約の相手方を選択する自由は、契約する相手を自分の意思で選択できるという自由です。
洗濯機をAmazonで買うのか、楽天で買うのか、それともコジマ電気で買うのかは、自分で選択しますよね。これが契約の相手方を選択する自由です。
ただし、自治体がする契約では、地方自治法により相手方を選択する自由は制限されています。
後編で解説しますね。
契約内容の自由
契約内容の自由というのは、契約内容を当事者の意思に基づいて決めることができるという自由です。
洗濯機の代金をいくらにするのか、納期はいつにするのか、設置までしてくれるのか等の契約内容を買主と売主の合意に基づいて決めることができる自由です。
契約方式の自由
契約方式の自由というのは、契約するのに特定の方式を必要とせず、当事者間で任意の方式を決めることができるという自由です。
契約ときくと契約書を思い浮かべる人も多いと思いますが、契約方式の自由のおかげで必ずしも契約書が必要なわけではありません。口頭で契約することもできるんです。
契約が成立する仕組みが、よくわからないという方は次の記事を参考にしてみてください。
家電量販店で洗濯機を買うときは、売主が領収書やレシートを発行するのみで契約書までは取り交わしていないことがほとんどです。契約は口頭でしています。
ただし、自治体がする契約では、地方自治法により契約方式の自由は制限されています。
後編で解説しますね。
法令根拠
冒頭に、契約自由の原則は、民法の基本原理に基づいているというお話をしました。
従来まではそういった理念的な根拠のみでしたが、民法改正にともない契約自由の原則が明文化されました。
(契約の締結及び内容の自由)
第五百二十一条 何人も、法令に特別の定めがある場合を除き、契約をするかどうかを自由に決定することができる。
2 契約の当事者は、法令の制限内において、契約の内容を自由に決定することができる。
(契約の成立と方式)
第五百二十二条 契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。
2 契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない。
改正民法より
「法令に特別の定めがある場合を除き」や「法令の制限内において」という表現が出てきていますね。
これが、後編につづく契約自由の原則に対する制限の部分です。
まとめ ー契約自由の原則は資本主義の根幹であるー
契約自由の原則について学習しました。
個人は他人から干渉されずに自己の意思で自由に契約できるという原則
そして、この原則には4つの自由がありました。
- 契約締結の自由
- 契約の相手方を選択する自由
- 契約内容の自由
- 契約方式の自由
資本主義社会の中で、企業は、競争に負けないために革新的なサービスやビジネスモデルを考えます。
その考えを実現できるのは、契約自由の原則があるからです。法律上で決められた定型的な契約しかできなければ実現することはできません。
そういう意味では、契約自由の原則は、資本主義社会の根幹をなしていると言ってもいいのかもしれません。
ですが、そんな契約の自由にも限界があるのです。
それでは、次回「契約自由の原則に対する制限(後編)」でお会いしましょう。
お疲れさまでした!