お久しぶりです。もと地方公務員で入札契約担当の部署に7年いたヒジリです。
このページでは、自治体と契約することも多い法人形態である有限会社について、自治体職員として知っておきたい知識2点について解説します。
有限会社と株式会社って何が違うんだろ?
有限会社の代表者って取締役?それとも代表取締役?
こんな職員さんのための記事です。
- 有限会社を新規に設立することはできなくなった
- 有限会社では代表取締役を選定せずに、取締役が会社を代表するケースがある
では順番に見ていきましょう。
有限会社を新規に設立すことはできなくなった
特例有限会社
平成18年5月に会社法という法律が施行されたことにより、有限会社法という有限会社の法律が廃止されました。
これによって平成18年5月以降、有限会社を新規に設立することができなくなったんです。
ちょっとまって!わたしの自治体では、今でも有限会社と契約してるわよ?
平成18年5月以前から存在していた有限会社で、会社法が施行されてからも有限会社として存続することを選択した企業であれば、今でも有限会社を名乗ることができます。
このような有限会社を法律では特例有限会社といいます。
有限会社と株式会社の違い
今でこそ、有限会社法からの経過措置はあるものの、株式会社と同等に扱われている有限会社ですが以前は違いがありました。
- 資本金:300万円以上
- 役員の人数:取締役1名以上(任期の期限なし)
- 決算の公告義務:なし
- 資本金:1000万円以上
- 役員の人数:取締役3名以上(任期は原則2年)監査役1名以上(任期は原則4年)
- 決算の公告義務:あり
比較してみると「資本金が1000万円以上」「取締役3名以上」と株式会社を設立するハードルが非常に高かったことがわかります。
一方、有限会社は「資本金300万円以上」「取締役1名以上」と家族経営等の小規模な事業でも始めやすいという特徴がありました。
ところが、会社法の施行によって次のように変更されました。
- 資本金1円からでも株式会社を設立が可能になった。
- 株式会社設立に必要な役員が取締役1名以上となった。
株式会社設立のハードルがガクンと低くなったことがわかりますね
この変更により、小規模事業者向きだった有限会社は不要となり、株式会社に統合されたという流れになります。
有限会社では代表取締役を選定せずに、取締役が会社を代表するケースがある
特例有限会社の取締役については、次のようなルールになっています。
- 取締役は1名以上いればよい
- 取締役が2名以上いる場合は、原則それぞれの取締役が会社を代表する
- 取締役が2名以上いる場合は、代表取締役を定めることができる
取締役が2名以上いる場合に限って代表取締役を定めることができますから、1名の場合は取締役しかいません。
2名以上いたとしても、代表取締役を選定は強制ではありませんから、選定はせずにそれぞれの取締役が会社を代表していることもあります。
肩書きが代表取締役ではないからといって無権代理とは限りませんから、早とちりしないよう気をつけましょう
まとめ
このページでは、自治体職員として知っておきたい有限会社の知識2点について解説しました。
- 有限会社を新規に設立することはできなくなった
- 有限会社では代表取締役を選定せずに、取締役が会社を代表するケースがある
新規に設立できなくなったとはいえ、まだまだ特例有限会社と契約する機会は多いですから、この2点を押さえておけば実務でも役に立ちます!
契約を制すものは公務員を制す
お疲れさまでした!